金庫の鍵開け

大切なものだから特別なところにしまった結果、しまったご本人もどこにしまったか忘れてしまうことがあります。先日、ご依頼いただいた方もそうでした。普段は使わない宝飾品は小型の金庫にしまっているそうなのですが、鍵をどこにしまったか忘れてしまったとのこと、週末のとある時間にお願いしたいとのことでした。
お約束の時間に伺うと娘さんも来ていました。鍵の場所が分からないのなら鍵の交換をしてもらった方がいいと説得中でした。一方、ご依頼主様はきちんと探せば必ず出てくるから、開錠後に新しい鍵を作ってもらえば十分とのお考えでした。ご依頼主様も娘さんもまずは開錠というところは一致していましたので、お話し合いは続けてもらうとして、お見積もりをお見せしお許しをいただき、開錠の作業に入りました。お使いの金庫は古いタイプのものでした。鍵は無事に開きました。作業が終了した時点でもお話し合いは続いていましたが、最終的には、今回はご依頼主様のお考えを優先することになり、新しい鍵を2つ作成までして作業を終了しました。
傍にある時はただ単なる鍵でも、なくなってみるとその鍵に想いが追加されることはよくあることです。鍵に携わる者としては、防犯上、娘さんのご意見が正しいと思いますが、人としてはご依頼主様の気持ちも分かります。お話し合いをされる時、まずは想いの方に寄り添い、それから実利をお話になると良い具合のところに落ち着くようです。